1.はじめに

2. ろう接するにはどうしたらいいの?

   2・1.酸化皮膜の除去

2・2.ろう材


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1.はじめに


 ろう接とは、金属材料や一部の非金属材料(セラミックス)を接合する技術です。
接着剤の代わりに金属(ろう材)を使用します。
有名な古代エジプトのツタンカーメンの黄金マスクにも金ろう付が使われていたという歴史のある技術です。身近なところでは、眼鏡のフレームや自動車のラジエター、電子基板などに利用され、また、最先端技術が多く用いられる航空宇宙産業にもたくさん使用されています。古くて新しい技術ですね。

 ろう接は、ろう付とはんだ付に分けられ、用いるろう材の融点によって区別されます。ちなみに、JISでは境界が450℃と定義されています。

 ろう接の特長には次のようなことがあります。  

  1.接合温度の選択の自由度が大きい    2.母材の溶融が非常に少ない    3.異種材料ののの接合が可能    4.精密接合が可能    5.大量生産や自動化に適している





 次に実際のろう接方法について述べることにします。


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2.ろう接するにはどうしたらいいの?  


2・1.酸化皮膜の除去
 
 一般に金属材料の表面は酸化皮膜に覆われています。酸化物の表面エネルギーは小さく安定なために、溶融したろう材はぬれにくく、接合しにくい状態にあります。ですから、酸化皮膜を除去する作業が必要になります。


 酸化皮膜の除去方法について
    
 酸化皮膜は、還元ガスやフラックスの使用、真空あるいは不活性ガス中での加熱によって除去する事ができます。

 (1)還元ガスやフラックスの作用

  *酸化物から直接酸素を取り除く作用       
  *酸化物と反応して、反応生成物(金属塩)を作り、溶解除去する作用

 要するに、酸化物の酸素になおいっそうくっつきやすい物質を与えてやって酸素を切り離してやる作業ですな。ホームセンターなどで売っているはんだに入っている松ヤニはフラックスの一種です。
    
 (2)真空あるいは不活性ガス中での加熱による機構

  *酸化物の蒸発及び熱解離       
  *固体内部に酸素を拡散させる(チタンなど)       
  *ろう材に添加されたゲッター材(蒸発性金属)による還元作用      

 うーん、なるほどね。  


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2・2.ろう材

 次にろう材について説明しましょう。最低限満たさねばならない条件は、ろう材の融点とぬれ性です。


 (1)ろう材の融点   

 ろう材を溶かそうとして接合する材料が溶けてしまってはどうしようもありません。接合する材料よりも融点の低いろう材を選択しましょう。また、ろう材の種類、加熱速度によっては溶け別れ(ろう材の成分が分離してしまうこと)が生じることがあり、強度低下や耐食性悪化の原因になります。  

 (2)ぬれ性   

 ぬれ性は接合する材料とろう材の組み合わせによって変化します。たとえば、自動車にワックスを塗ると水のはじきがよくなりますね。水がワックスに対して、ぬれ性が悪い、といえます。洗車する前はぬれ性が良い、となります。作業する際、ぬれ性が良いことは、狭い隙間にろう材が進入し易く、接合不良(ボイド)ができにくいなどのメリットがあるのです。     

 ぬれ性を良くするためには     

  *固液界面エネルギーを低下させる     
  *溶融ろうの表面エネルギーを低下させる     
  *溶融ろう先端近傍の母材表面エネルギーを増大させる    

 実際にどうすればよいかといいますと、     
 
  *共金を使用して接合界面ができないようにする     
  *固溶体を形成する金属を使用する、あるいは合金元素として添加する 
  *金属間化合物を形成する金属を使用する、あるいは合金元素として添加する
    でも、脆化(硬くてもろくなること)の心配がある     
  *ろう材に元素を微量添加して、表面へ偏析させる     
  *フラックス等によって表面酸化皮膜を除去する   

 ぬれ性の相性の良いろう材を選択しましょう。自分で作るのもおもしろいかもしれません。うまくいけば特許とれます。   

 その他の条件としては、  

 (3)継手強度や耐食性が使用目的にあうこと   当たり前ですね。  

 (4)板や線材に加工しやすいこと   作業性の向上、商品化には重要です。  

 あとは溶かしてくっつけてみるべし!  簡単でしょ?

 研究室ではどのようなことを研究しているの?

  うーん・・・これはトップシークレットだから、教えられないよ。


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