1.光計測による材料の変形・破壊評価

Optical analysis of deformation and fracture of materials

光学計測技術を用いて鉄鋼やアルミニウムなどの金属材料の変形について調べています.
応用研究として,構造材料の疲労寿命評価技術に関する研究や溶接継手の信頼性評価に関する研究を行っています.
【研究テーマ】
・レーザースペックル干渉法を用いたAl-Mg合金の変形・破壊現象の可視化
・レーザースペックル干渉法を用いた材料の疲労破壊予知
・レーザースペックル干渉法を用いた残留応力の可視化


当研究室で制作したレーザースペックル干渉装置ESPIと干渉縞画像

2. 超音波による材料の接合

Ultrasonic bonding

超音波振動を利用して,材料同士を溶かさずに,瞬時に接合できる超音波接合は,自動車のワイヤーハーネスや電気自動車のリチウムイオン電池の接合技術,またパイプを封止する技術としても利用されています.特に,薄板や小型部品のスポット接合で効果を発揮します.接合実験だけでなく,有限要素法によるシミュレーションも行い,熱・構造解析,画像解析,荷重解析,断面観察などを通して接合過程を明らかにしています.また,超音波接合と同じように,ろう付やはんだ付時の接合部に超音波振動を与えることで,アルミやチタンなどをフラックスを用いずに接合が可能です. 製品の高機能化やコストダウンを実現するためには,様々な材料を組み合わせて(接合して)利用する「マルチマテリアル化」が重要とされています.超音波振動を利用した接合技術は,マルチマテリアル化を達成する材料接合技術の一つとして期待されてます.

【研究テーマ】
・工具形状が接合に及ぼす影響
・接合材料の表面形状が接合に及ぼす影響
・スズめっきが接合に及ぼす影響
・パイプ封止技術への応用


超音波接合過程の解明に関する研究

金属同士を摩擦させることで,溶かさずに瞬時に接合する技術です. こちらでも解説しています.

3. 材料ごとのろう付性の比較および新ろう付け法の開発研究

Brazing

ろう付は,母材よりも融点の低い金属(ろう材)を溶融させ一種の接着剤のように母材と母材の間に流し込むことで接合を完了する技術です.
接合する材料をほとんど溶かさずに接合することができます. 従来の技術では接合が難しい新材料を接合する技術について研究しています.

【研究テーマ】
・超音波を利用したノンフラックスろう付
・焼結材におけるろう付け性

各種金属材料のろう付の研究について

4. 超音波キャビテーションによる表面処理

Ultrasonic cavitation peening

水中に超音波を照射することで,超音波キャビテーションを発生させます.
そのキャビテーション気泡が崩壊する時の衝撃力を用いて,金属材料の疲労強度を向上させる研究です.
【研究テーマ】
・超音波キャビテーション現象の可視化
・超音波キャビテーションピーニングによる薄膜金属の高強度化

水中で超音波振動子を振動させることによって発生するキャビテーション現象


5. 加熱圧接を用いた鉄道レールの接合

Heat pressure welding of rail steel

加圧圧接法は,鉄道レールや鉄筋を接合する際に用いられる固相接合の一種です.
この手法は,軸方向の圧縮応力と加熱軟化に起因して接合部近傍に塑性変形が生じることにより接合が達成されます.
加熱や加圧を制御し,接合の形成に及ぼす影響について研究しています.

【研究テーマ】
・二段階圧接法における加圧制御
・界面ひずみが酸化被膜分解に与える影響


6. ストレイン超音波エラストグラフィを用いた生体内軟部組織の剛性評価

Strain ultrasound elastography

靭帯は,関節を安定させる上で主要な役割を果たしています. これら靭帯の正常な生体力学的挙動の知識は, 靭帯損傷または外科的処置後の膝の最適な安定性を確保するために重要です.
ストレイン超音波エラストグラフィー(SE)は, 組織の剛性に敏感な非侵襲的イメージング法であり, 近年, 診断モダリティとしての使用に加え, SEは筋軟骨構造の力学的特性を評価するために広く使用されています.

【研究テーマ】
・足関節前距腓靭帯の底屈に伴う剛性評価

2011以前の研究

その他,渡辺健彦 名誉教授が2011年までに行っていた研究もこちらで紹介します.