超音波を利用した接合の研究
当研究室では、超音波を利用した接合の研究をたくさん行っています。超音波が有する未知の優れた特性を表面界面現象に適用して、接合部の特性の向上に役立ています。以下に、いくつかの研究を紹介します。
1.同種の金属同士あるいは異種金属の超音波接合の研究
超音波接合法は、被接合材を加圧下で15kHz位の超音波振動で擦り合わせることによって、接合する方法です。何の表面処理も必要とせず、かつ、大気中で接合できます。電子デバイス等の作製に大活躍しています。
同種材の超音波接合の研究として,鉄鋼板の超音波接合を始めており,すばらしい成果が出てきております。「鉄鋼板の超音波接合の研究」のところを見て下さい。
当研究室では、アルミニウム、銅やステンレス鋼などを接合しています。また、硬さや熱伝導率が異なる異種材料の接合,マグネシウム合金とアルミニウム合金の超音波接合も行っており、接合性と材料特性との関係を調べております。
さらに、セラミックスと金属の接合にも本法を適用して、その接合性や接合機構を調べています。これに関する研究は,「異種金属・材料の接合」のところを見てください。
2.超音波振動ろう付の研究
ろう付過程で超音波振動を付加すると、ろう付性の悪い材料が容易にろう付できるようになったり、ろう付継手の強さが大幅に向上することを当研究室で明らかにしております。これまでの研究で、酸化皮膜が強固なアルミニウムのろう付時に超音波振動を付加すると、非常に低温度で、かつ、フラックスを用いずに大気中でろう付できること見いだしました。これに関連する研究の一部は,「異種金属・材料の接合」のところを見てください。
また、ステンレス鋼の銀ろう付時に超音波振動を付加すると、継手の強さが大幅に上昇することも見いだしております。この方法をいろいろな金属のろう付にも展開しており、多くの新しい知見を見いだしております。
3.ぬれ性におよぼす超音波振動の効果
固体金属上の液体金属のぬれ性におよぼす超音波振動の効果を界面反応の観点から調べております。
4.超音波振動付加溶接による溶接金属の特性改善の研究
これまでの多くの研究で明らかにされているように、凝固組織を呈する溶接金属部のいろいろな特性は熱の影響を受けない母材に比して、一般に、劣ることが知られています。当研究室では、アーク溶接中に超音波振動を付加することによって、溶接金属部の機械的性質や耐食性等の改善を目指した研究が行われております。興味ある結果が得られておりますが、これから学会等で公表して行きます。
5.超音波振動による無フラックスはんだ付の研究
多くの場合,はんだ付をするためには酸化皮膜を除去するためにフラックスを使用します。しかし,フラックス使用後はスラグや残滓の除去作業が必要になり大きな問題となっています。当研究室では,超音波振動を付加することによって無フラックスではんだ付に成功しています。
その他にも、ろう付現象に対する超音波振動の効果を明らかにする研究が進行しています。
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